手の内(その2)

3月23日日曜朝の稽古。

 

日曜朝の稽古はいつも道場が一杯になります。でも今日は異なりました。

まず、杖道のグループ。それから空手の一人稽古をする人。グループで空手の稽古をする人たち。そして、なぎなた。このなぎなたは、参加者全員が外国の人という面白いグループです。発声や号令は日本語ですが、指導しあうときには英語です。

何だか、アメリカにいた頃の剣道クラスを思い出します。

 

今日も大石神影流から稽古です。今回は模造刀の脇差を差して演武用の装いで稽古をしました。長めの脇差ですが、思ったほど邪魔にはなりませんでした。むしろ楔のようになってよい感じです。でも下げ緒が安っぽくて気に入りません。いや本体も実際に安いんですけど。昔の武士は下げ緒がカラフルでした。絵で見る限り。そんなところでお洒落をしていたんです。よし。脇差用の下げ緒も探そう。

 

大石神影流の手数では、ずっと鼠蹊部を緩めた状態で稽古をします。以前は、太腿が筋肉痛になることが多かった。でも、最近はさすがに毎日のように稽古しているせいか、楽に立てるようになってきました。そういう姿勢をとっている私が、先ほどのなぎなたの人の稽古を見ると、腰が高いなぁと思います。外国の方だから腰が高いのではなく、膝を伸ばし、腰を伸ばしているから、動きが上下にぶれてしまっているのです。でも、武術としては右半身、左半身を使うし、右手前、左手前と手を入れ替えたりして、非常に面白そう。以前は3人くらいだったのに、今日は8人に増えていた。おそるべし、なぎなた人気。あとは、ふんわりと進退ができるようになれれば素晴らしいのですが。

おっと、よそ様のことを批評がましく言ってはなりませんね。

私自身がふんわりと進退できるように、目下研鑽を積んでいるところであります。

 

手の内を意識し始めて一週間が経ちました。

斬撃の時も、居合の抜き付けの時も注意しています。

抜き付けの時の発見は。

優しく鯉口を持って…つかんで…握って…。うーん、良い表現が見つかりません。鯉口を包むように?して、鞘引きをします。以前の鞘引きでは刀が抜けた途端に、鞘引きの動きが止まってしまい、右手の切り付けだけが動いていました。抜くために鯉口を握る手に力が入っていたからです。でも、新バージョン鞘引きでは、刀が抜けても鞘引きが止まりません。いや止めようと思えば止められますが、止めないで体を開くことができるようになりました。これは、大発見です。私にとっては。右手と左手が同時に止まるので、バランスがいい。気持ちいい。

 

斬撃の時の発見は。

手の内が柔らかいからでしょうか、斬撃というよりも、切り裂いている感覚です。大石神影流での斬撃でもそうですが、英信流の斬撃ではもちろん居合刀を使うので、より”切り裂く”というイメージが強くなります。空気を切り裂いている感覚。うーん。何だか格好いい。いえ、そんなに動き自体は早くないのです。むしろ以前より遅くなったような。でも「スパッ」と斬っている感覚がするんですねぇ。気持ちいい。

 

どこかの居合のように、両手を伸ばして切り付けて、そのまま斬り下ろすようなことはしていません。…しているつもりはありません。

普段どおり、手を落とすような斬り下ろしです。たぶん…

よーし、今度はビデオを撮ってチェックしよう。

 

手の内一つとっても、とても奥が深い。

というよりも、前にも記したとおり、手の内は身体と刀を結ぶ非常に大事なジョイント部です。ここがうまく使えるか使えないかで、刀と一体になった動きが出来るかどうかが決まってしまう。剣術や居合の肝にあたる大事な技術です。

いやー、それにしても日々発見の連続で、楽しいですねぇ。

 

剣道をする子供たちがきて、にぎやかになりました。狭くもなってきたので、気持ちよく稽古を堪能できたオジサンは、少し早めに稽古を終わることにしました。

 

                          平成26年3月23日